看護師とは/同族嫌悪について

まず、看護師とはどのような仕事であるのか。

もうここから感情的になります。ええ。

一番に言いたいことは

 

看護師は小間使いじゃなく、れっきとした医療/ケアのプロである

 

ということ。

特にご年配の方に多いです。看護師はただ医者の後ろをついて回る補佐だと思ってらっしゃる方。

昔はそうだったのでしょう。在宅医療の看護師と言えば先生のかばん持ち。先生の傍で診療の介助をするだけの存在だったのかもしれません。そしてこれは残念ながら医療現場にもこの考えの方は未だに多いです。所謂ベテランと呼ばれる方に。

 

しかし、現代の看護師は違います。医師と共に考え、医師より近い立ち位置で患者に向き合って情報を提供し、医師の指示通りに医療を提供する存在。それだけではなく、医師とは違う「ケアのプロ」です。

 

医師は沢山の病気の勉強をします。そして治療の勉強もしています。それは勿論尊敬に値するところです。

しかし看護師の勉強は、病気や治療の勉強以外にも「患者とのコミュニケーション」「カウンセリング」など、「患者を一人の人間として接していく」ことに特化しています。どう声をかければ不安を軽減できるのか、話を聞いてもらいやすいのか。そんなことから学びます。

何故ならば、看護師は常に患者という「人」に向き合い続けなければいけないからです。

例えて言うならば、看護師は戦場の最前線にいる実戦部隊の兵士で、医師は部隊長などの指揮官、といったところでしょうか。

 

よくある医療ドラマ。ナースキャップをかぶった看護師が綺麗なワンピースタイプの白衣を着て「〇〇さん、お加減いかがですか?」なんていう病室の風景。

最近はナースキャップの存在が不衛生な上に色んなところに引っかかって邪魔だという現実的な問題で廃止になっているところが多いです。むしろいまだにナースキャップをかぶっているなら若干時代遅れと思われます。

そして白衣。これは病院によって変わります。

何故かというと、看護師がどれだけ動かなければいけない職場かによって変わるからです。

動き回る部署で働くのにワンピースタイプなんて邪魔以外の何物でも

ありません。忙しいところや病棟、救急の現場なんて動けない患者さんをベッドに乗せるためにベッドに柵乗り越えて上がったりしゃがんだりすることも日常茶飯事ですから。パンツ丸見えになりますよね……。

 

話題はかなりそれましたが、看護師はよく患者さんにも下に見られることも多いです。

「看護師なんだったらなんとかしろ」

という正直意味不明な理屈を声高におっしゃられる方も沢山いますし、罵倒されたりもあります。認知症の患者さんを相手にしていればつねられたり叩かれたり蹴られたり噛みつかれる、なんてこともまあ普通です。

少なくても私はそういうことが普通の職場にいました。

何かをするのにお手伝いが必要な方への助力は、当たり前です。それも看護の仕事です。

しかし、ちょっと動けばいいことをしないで「看護師を呼べばとりあえずなんでもやってくれる」と思っている方もいるのが現状。

後は、医師の言うことは聞くけれど看護師に注意されようものなら暴言、そして看護師の言うことは聞かない。なんて方にも沢山出会ってきました。

でも、私たちはこれらのことにいくら疑問を覚えようと、現場では我慢を強いられます。

その結果、よく「私は何のために看護師になったんだろう…」という悩みにもぶち当たります。これが結構つらいんです。

 

だから今一度言います。

看護師もまた、プロの医療従事者である

と。

 

 

上記の話は、綺麗で立派な病院の看護師たちの多くは知りません。

 

今の言葉でおわかりになるでしょうが、看護師は同族嫌悪が激しいな、というのが私の見解です。

病院によって、更に同じ病院でも病棟と外来、病棟でも急性期と慢性期にいたるまで、基本的に自分と違う部署には文句ばっかりです。

 

急性期にいた頃の私

「なんで外来は時間通りに入院入れてくれないの!?しかも緊急入院なのに点滴も入れてなければ採血も取ってないとかありえない!!こっちは忙しいんだよ!!」

「在宅医療の人たちってすぐ入院させたがるよね……在宅医療なんだったら在宅で見ろよ」

 

慢性期にいた頃の私

「なんで急性期って状態改善したらすぐ放り込むの……せめて落ち着いたの確認してからにしてよ。」

「在宅退院方向なのか施設なのかわからないし全然話進まない……さっさと退院しようよ……」

 

在宅医療の頃の私

「なんで入院中に家族に介護指導してないの……何も説明しないで帰すのやめて…サービスの調整はそんなすぐできるもんじゃないんだから…」

「在宅で診てあげたいけど、介護者の力が不足しすぎててこのままじゃ死んじゃうから入院させるっきゃないんだよ……。訪問診療も訪問看護もタダじゃないんだから負担大きいんだぞ。」

 

これだけでもそれぞれが自分の視点でしか考えられずに他に喧嘩を売ってるのがわかりますね。表面上はきちんとしてても、蓋を開ければ愚痴が多いです。

そして上記より多いのが「他の病院dis」です。

 

中小規模、現場主義の職場にいる私は、とある時出会った派遣の看護師さん(当時経験4年目。とある有名大学病院で3年経験して飛び出して派遣になった。)と話して驚きました。

「お看取りしたことありません。」「足に点滴入れるなんてしたことないからできません」

思わず「使えねえ……」と声に出しかけました。しかも、足に点滴入れられないということを、その時点で3種類の点滴を入れてなんとか山を越えるように治療中の患者さんと家族がいるところで言いました。そしてその場に私を取り残しその人は退室。

ご家族が泣きながら「もう点滴入れられないんですか!?」と聞いてきたのをなだめるところからという大仕事になりました。

 

どうやら大きい病院にいくにしたがって、看護師は点滴のルートを確保(血管内に針を留置すること)する部位が決まっていたり、そもそもやらなかったりするらしいです。そして中には静注(点滴ではなく、少量の薬剤を注射器で直接血管内に入れる。)もやらないところもあるとか。

そういう違いがあるから、中小規模の病院の看護師は「大学病院の看護師なんてあれもこれもやらないんでしょ??」と言い出し、逆に大きい病院の看護師は「え?そんな不便な環境で何ができるの?」と言い出し、お互いがお互いに常に心のどこかで喧嘩売っていたりします。

 

 

これをたまたま目にした大きい病院の看護師さんがいらっしゃったら申し訳ないのですが、中小規模の病院の看護師は、大きい病院のことをあまりよく思っていません。

「治療とかオペとか、金になるところだけやって肝心のその後をこっちに丸投げしてきやがる」

なんて意見多いです。これは看護師の問題ではなく入退院管理とか病院経営の方針になるところなので看護師は悪くありません。なのでせめて情報提供書は最新の情報をきちんと書いてほしかったりします。

患者さんが転院してきたら、情報提供書に書いてあることと実際が違うなんてことも多いです。これ、本当に困ります。

 

そんなドロドロしている部分もあるのが看護師という世界です。基本的にしっかりしている人が多いからか、気性が荒い人も多いのです。

 

 

ここまでつらつらと愚痴のように書き連ねてしまいましたが、これで少しでも看護師の裏側を知っていただけたならよかったかなと思います。

最後に、これはあくまでもこのブログを書いている筆者が今までの経験から書いていることですので、全ての看護師がこんなひねくれているわけではありません。あしからず。